第27回-複機能状態
ざっくり機能編-目次
- [第21回] ベース機能
- [第22回] 調性内引力
- [第23回] 7CMの機能
- [第24回] 平行と多層
- [第25回] 音束と機能
- [第26回] 音の束ね方
- [第27回] 複機能状態
- [第28回] 非3度堆積束
- [第29回] 他7CMの例
- [第30回] 折れ線手法
前回までで、
・ベース単音が機能を持つ
・音束はベース単音に見なせて機能を持つ
・音束の束ね方で機能の強さや聴いたときの感触が変わる
ってのをお話したね。
前回までの感じだと
・ベース音が機能を持ち
・上の方での和音束が感触を担う
っていう分断な感じだよね。自由度高いけど・・・でもちょっと待って。C/Gとかの分数コードとかどうなるの?構成音はCじゃない?
ここがとても面白いところよ、音束は1つではない、複数束=機能を持つ。それが今回のテーマよ!
完全5度は単音想起を誘因
倍音列で見たとおり、完全5度は倍音列に多分に含まれるのね。逆にいうと完全5度の音はベース音へのみなし単音化がとても強いという性質を持つの。
図でいうとドに対するソだね。
あ、たしかにハードロックとかのリフもパワーコードでやっちゃうことあるね。あれはパワーコードといいつつもどちらかというとコードではなく単音に寄せたサウンドに感じる。
そうそう。感覚として「パワーコードはサウンド」って形容する人たちもいるわ。
つまり、音束の中に完全5度の組合せがある場合、それのみなし単音も想起する。※低い時の方が性質は強い。
それのみなし単音『も』?
そう、音束は複数の束機能を持つ。
音束の中に完全5度の組合せがあるとき、それのみなし単音も想起する
転回系
例が欲しいな。
簡単なところから説明するね。まずは転回系。
C/G in CNM
これをどう評価する?
Cコードじゃないの?
聴いてみましょう。
Cコード同等に聴こえそうね。じゃあ今度は
/G
を少し低くした2つを聴いてみてね。このコードで終わったときの聴感はどう?
少しふわっとするね。終わりきってないというか。
あー終わってない終わってない、トニックどこかに感じてるけど、ちゃんと終わらせてほしいというか。
きちんと終わらせにいくとしたら
C/G – G7 – C
とかかしらね。音楽理論ではこの前半2つの
C/G – G7
のセットをドミナントって呼んだりもするの。
え、C/GはCコードなのにドミナント扱いするの??
その気持ちは分かるんだけどね、そもそも本当にCコードと同じ?ちょっと疑って考えてみよう。例えばさっきの一番低いケースはトニックとは別の感覚なかった?
7CM理論ではベースが強い機能を持つ考えなので
①C/GのベースはG
→ソ機能=Dを持つ
②構成音にドソの5度柱がある
→ド機能=Tを持つ
という2つの考えから
★結論:
機能はDとTの2つの機能を持つ
って考えるの。
複数機能を持つってそういうことなんだね。あーなるほど、さっきの音楽理論の「ドミナントと見なす」って話もつながるね!
そうね。音楽理論のなぜ?が7CM理論で示せたね。もう1点補足するならね、この
C/G=[ソ+ド+ミ]
の状態は、
G=[ソ+シ+レ]
のシとレが吊り上げられたsuspendedな状態とも見れるの。
suspended・・・?
あ、sus4とかsus2とかのこと?
そうそう。無理矢理書くとしたら
C/G=Gsus4,6
って感じかしらね。これもベース音Gが機能を発揮してるからそう聴こえるものね。
他の転回系は・・・?たとえば
C/E in CNM
とか。
同じ考えで、
・EのEm的S機能
・CのC的T機能
を併せ持つわ。試しにEmとCを入れ替えるサンプルを聴いてみてね。まずは
①Em – F – G7 – C
②C/E – F – G7 – C
どう?明るさとか雰囲気って話ではなく、進行する力は同じように聴こえない?つまり機能として
EmとC/Eは同等
という感じ。もう一個比較サンプルよ。
①F – Em – Dm – C
②F – C/E – Dm – C
どちらも機能として同等に感じる!
オンコード
そしてあからさまに解りやすいのはオンコードね。
G/F
とかはFの持つ機能でもありGの持つ機能でもあり・・・っていう複機能。
これは解りやすい。
コードっていうとそれくらいかな?あとはテンションとか音を重ねていく中で生まれてくる5度柱も弱い機能を発する束って見ていく感じなのかな。
そうね。
Dm7={レファラド}
を
Dm={レファラ}
+
F={ファラド}
として見るような感じね。
コードとしては以上のようにも思えるけども…
次回
さて、今回は束ね方で持つ機能についてみたね。簡単に言っちゃえば「ベース音以外の束(5度柱)が出来たらそれも機能を持つ」っていう複機能だったね。
次回はこれを逆手に取るような和音、「コード表記できなくはないけど、普段こういったもの選択しないよね」的な音束を見ていくよ。少しディープな話かも?