第23回-7CMの機能
ざっくり機能編-目次
- [第21回] ベース機能
- [第22回] 調性内引力
- [第23回] 7CMの機能
- [第24回] 平行と多層
- [第25回] 音束と機能
- [第26回] 音の束ね方
- [第27回] 複機能状態
- [第28回] 非3度堆積束
- [第29回] 他7CMの例
- [第30回] 折れ線手法
ベース域において働く引力
・引力①中心音引力
・引力②5度下引力
・引力③隣接音引力
があるっていうことを見てきたね。
今回はその引力によって成り立つ事象、いよいよ機能についてだよ。お待たせしたね!
結論先に言っちゃうと、どんな7CMでも
T:1度類
L:2度類と7度類(1度類の上下隣)
D:5度類
S:その他
だよ。至ってシンプル!
機能T:到達・トニック
まずはT。音楽理論で言うトニック(Tonic)に近いもので、到達(Toutatsu)のT。1度類に定義されるわ。
in CXXはドの機能がTってことだね。in CNMやin CNmとか。
機能D:動・ドミナント
続いてTの次に重要なDよ。音楽理論でいうドミナント(Dominant)に近いもので、動(Dou)のDよ。Tの5度上、5度類の音に定義されるの。
5度上ってことは、in CNMだとTはドだから、その5度上っていうとソ?
そうよ。そして最もTへ引力を感じる音、つまり機能としてD機能はTに最も行きたい状態の機能。5度類に定義されるわ。
あ、引力①中心音引力と引力②5度下引力の合わせ技が働いてるんだね!だから引力強いんだ。
そのとおり!
機能L:隣接・リーディング
そしてまぁまぁTへも引力を持つ状態、L機能。音楽理論でいうと・・・
音楽理論にあるっけ?
フフフ・・・。後ほどね!これは隣接(Linsetsu)のLで、導音(Leading)的なニュアンスね。
隣・・・ということは、Tの隣の音ってこと?
正解!2度類と7度類に定義されて、in CNMだとレとシ、in ANmだとソとラね。
あ、わかった。引力①中心音と引力③隣接音引力が効いてるんだね!だからTへもまぁまぁ引力がある機能なんだね、Lって。
分かってきたね。そしてまぁまぁな状態なので、Tへ直接いかなくてもいいし、1度Dを挟んでTに行ってもいいわね。この辺はざっくり機能編の最後の折れ線手法でまた話すね。
機能S:静・サブドミナント
最後に機能S、これは「これまで出てきたもの以外」を引っくるめてるの。
え、結構ざっくりだね。機能として成り立つの?
7CM理論の機能は「中心音方向への引力大小」が軸になってるの。だから中心音引力が弱い音は一旦そういうグループとしてまとめるのね。ただしこれは単一調性状態が基礎になるんだけど、って小難しい話はまた今度するね。
う、うん・・・。
えーっとそれ以外ってことは、引力①の中心音引力しか中心音方向に働いていない状態ってことかな?
その通りよ。動きたい機能力が少ないから静(Sei)のS。音楽理論でいうとサブドミナント的なものよ。Tに行っても当然いいんだけど、音楽理論では弱進行と呼ばれるような部類ね。
まとめると
in CNMを例に図に表すとこんな感じね。GはCへ2本矢印で強い引力、Fは2本以上矢印のある方向がないから機能として動機が薄いね。
Lとは一体・・・
なんとなくTはトニック、Dはドミナント、Sはサブドミナントっぽいなってのはわかったんだけど、Lがよくわからないな。in CNMだとシとレの機能で、トライアドで言ったらBm♭5とDmだよね。
そうね。Lはね、ドミナントとサブドミナントの間のグラデーションのような位置づけなの。例えば
・ベースでD→C
・ベースでF→C
と終わらせたとき、前者の方がCへの到達感が強くない?
あー、確かにベースでレードーの方がしっくりくるし、ファードーは少し唐突感があるかなぁ。
うんうん。このL機能レは一般的にはサブドミナントと分類されるけど、サブドミナント以上ドミナント未満な引力持ちさんなの。
ほぉほぉ。Bm♭5の場合は?ドミナントって言われてるよね。
ベース音シ in CNMはTの半音隣接状態だから引力③隣接音引力も強まっているね。ドミナントって言いたくもなるね。でもこれを
・ベース音シ→ミ→ラ in ANm
だったらどう?どんな役割してる?コード版でいうと、
・Bm7♭5→E7→Am in AHm
とかね。
サブドミナント的な振る舞いだなって思うかも。ドミナントのE7にいいパス出してるよね。他にあるかな、えーっとCHMだと、
・Bdim7→G→C
これは
・Fm→G→C
的で、これまたサブドミナント的なパスを出してる感じがする。
例を見つけれるようになってきたね。そうね。だからこのシ、Bm♭5やBdim7もサブドミナント以上ドミナント未満なグラデーション機能なの。
ドミナントの根音省略という論理の正体
音楽理論ではよく
『Bm7♭5はG7(9)の根音省略だからドミナントだ』
なんて耳にするけど。
でもその論理って不思議じゃない?なんでドミナントだけそのルール適用できるの?って。
これの理由は単純、『根音省略しても構成音が似てるから』じゃなくて、ドミナントの根音省略系は必ずL機能になるから。Lという分類のない音楽理論ではD機能として呼んじゃうのね。
(稀にドミナントとサブドミナントのハイブリッドだって認識してる方もいるけど、それこそまさにL機能のことね。)
簡易度数類でのまとめ
結局、機能はすべて中心音からの度数で定義されるから、7CMの種類に関係なく分類できるの。もちろん
・完全5度のD >> 増・減5度のD
・半音隣のL >> 全音隣のL
のような大小は7CMによって変わってくるけどね。
ええっと、1度類はTでそれが基準になるから、1度類から並べると
T,L,S,S,D,S,L
だね。
これを機能ごとに並び替えると
T:1度類(ド、C)
D:5度類(ソ、G)
L:2度類(レ、Dm)、7度類(シ、Bm♭5)
S:3度類(ミ、Em)、4度類(ファ、F)、6度類(ラ、Am)
ってことになるんだね。
…あれ??あれれ??
…?どうしたの?
Fがサブドミナント的でSっていうのは理解できるんだけど、Emはドミナントに感じるよ。それにAmはトニックじゃないの?
お、いいところに気がついたね!実は7CMというのはミルフィーユのように…
次回
さて、今回はT、D、L、S機能について説明したよ。TDSはなんとなくトニック、ドミナント、サブドミナントに類似していてL機能はサブドミナントとドミナントの中間のような位置付けだったね。
でもなんだかS機能の中に怪しげなものもいたね…?
次回は平行調とその多層状態、またその切替スイッチについて説明するね。