第35回-d型の接続
ざっくり接続編-目次
- [第31回] 機能と分脈
- [第32回] 進行と停滞
- [第33回] 引力残り香
- [第34回] 進行の保留
- [第35回] d型の接続
- [第36回] s型の接続
- [第37回] n型の接続
- [第38回] よくある例
- [第39回] 小調性概念
- [第40回] 接続まとめ
第34回-進行の保留では、進行を保留すると分脈を保持するってことがわかったね。
分類も3種類あって、それぞれどうなってるのかしら…?
L引力をD引力に替える
さて、今回も聴感を借りるね。これはどんな感じかしら?
C→Dm
そうだなぁ。
C(始まるよ)
―C(~)
→Dm(次に来たよ)
くらいの感じかな。CからDmのD引力があって、物語が穏やかに進行してる感じがあるね。
ありがとう。続いてCを分割してAmを挟んでみたらどう感じるかしら?
C-Am⇒Dm
おぉ、今度は勢いづいた気がする。
C(始まるよ)
―Am(さぁ、行くよ!)
→Dm(次に来たよ!)
って感じ。
なるほど!
これを前回のように分析してみるとどうなるかしら。
えーっと、
①C-②Am⇒③Dm
で、
①C→③DmへはL引力だね。
②Am⇒③DmはD引力だ。
つまり、
『①保留引力=L引力』+『②直接引力=D引力』の進行保留を解決してるんだね。
これは見方を変えるとね、
・もともとL引力だった①を
・D引力(+若干のL引力)まで②で引き上げた
とも言えるんじゃない。
ほほぉ!
停滞しながら引力強化
ところでL引力とD引力はどちらが強く感じる引力だったかしら。
う〜ん、個人的にはD引力の方が強い引かれ方をしてる気がするね。
そうね。
人にもよるかもしれないけど、一般的な音楽理論や過去の経緯等を見ても、やっぱりドミナントだったり強進行という名前の5度下行だったりってのは特別視されていて、D引力を強い・特別としてみても差し支えないね。
つまりこのケースは・・・
L引力をD引力に強化しながら進行したってこと!?
そのとおり!
他の度数類だと
さっきはC-Am⇒Dmの例で見たけど、この【C-Am】というまとまりについて他の度数に一般化しながら見てみましょう。
接続先が6度上になるので、in CNMで羅列すると
・C-Am
・Dm-Bm♭5
・Em-C
・F-Dm
・G-Em
・Am-F
・Bm♭5-G
の7種類ね。
うん。
進行保留となるには、例えば【C-Am】の場合はCとAmの引力の共通項を探せばいいのかな。
そうなるね。見ていきましょう。
…あ、その前に命名するわ。
この【1度類-6度類】の6度上への接続を今後d型接続って呼ぶわ。
(理由は最後にね…)
6度上への接続をd型接続と呼ぶ
進行保留のパターン
一旦1度類を基準に【1度類-6度類】として見てみよう。
1度類にかかる引力は、
・L引力:2度類、7度類(下図の左右黄色矢印)
・D引力:4度類(下図の下段方向青矢印)
だね。
そうね。
続いて6度類の引力先は?
6度類にかかる引力は、
・L引力:7度類、5度類(下図の左右黄色矢印)
・D引力:2度類(下図の下段方向青矢印)
だね。
そうね。
さてそれじゃあ本題。
1度類から6度類に接続しました。このときの進行保留先は何になる?
えっと、こうなるから、共通する引力先の矢印は…間に挟まった7度類、かな。
【1度類-6度類】→【7度類】
だ!
そうね。
でもよく見て。もう1つあるの。
それは2度類ね。図を配置換えしてみてみると…
あ、ほんとだ。
【1度類-6度類】⇒【2度類】
こっちは元の1度類にあったL引力が6度類ではD引力になるケースだね。
…あ、最初に聞いた【C-Am】⇒【Dm】の引力強化ケースがまさにこれじゃん。忘れてた…。
d型接続の進行保留はD引力とL引力
そうなの。
これを整理すると、d型接続(6度上への接続)は、
・2度上のL引力を4度上のD引力に換える
・2度下のL引力を2度上のL引力に換える
ということがわかるね。
d型接続は、文脈を保ったまま元の引力以上か同等にする接続なんだね。
そのとおり。
ただし注意なのは、その次の音束(コード)で保留した進行をちゃんと満たしてあげないと…
引力解決を期待した心ががっかりしちゃうってことかな?笑
補足:d型って?
d型接続は停滞の一種。
つまり進行したときと比べると、進行感は得られないもの。
停滞してる時点で「行きたい(進行したい)」って気持ちのまま行けずに預け食らってる感じだよね。
そうね。
ただ、その停滞の中でも「さっきより大きな期待感(L引力<D引力)」を持たせてお預けする状況にもなりえるの。
そのエネルギーを
・動的(Dou-teki)
・Dynamic
・ドミナント(Dominant)的
などで形容して、頭文字のDをとってd型って呼んでるの。
停滞の中でもその先により強い進行感を持たせようとする停滞接続なんだね。
次回
さて、今回は停滞の一種であるd型接続(6度上接続)が、引力の期待を大きく持たせる形で停滞する接続だってことを見たね。
次回はまた別の停滞接続であるs型の接続について見ていくね。
またね!