第33回-引力残り香

7CMざっく理論-33-引力残り香

『7CMざっく理論』シリーズでは、根拠とか難しい説明をすっとばして、7CM理論とは何なのかについてざっくり概要を説明していくね。

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ざっくり接続編-目次

音束(コード)間の接続がD引力L引力に乗っかるものを進行って呼び、それ以外を停滞って呼ぶんだったね。

接続3種類(進行と停滞の例)
図:接続3種類(進行と停滞の例)

今回はその停滞の中の分類のお話。

同じような分脈

前回最後の例で
 F・Am・C
はなんだか停滞感強かったけど、
 G→Am・C
は悪くない感じもしたなぁ。

もしかして、同じ[Am・C]でも差があるのかな?

そうね。

第31回-機能と分脈では、ある単体の音束(コード)例えばCに対して、どこから接続するかでCの性質が変わる、ってことを見たね。

接続による性質(Tの違い)
図:文脈によって変わるT

今回は、音束という点ではなく、接続という線に対して分脈を見る話。

点と線…?なんだか広がってきたね。難しそう。

まずはこれを聴いてみて。キミの聴感を借りるね、どんな感情になるかな?

Am-Am→G⇒C…

音:Am-Am→G⇒C・・・

そうだねぇ。

 Am(さぁ~)
 -Am(ぁ~
 →G(行くよ!Cに)
 ⇒C(到達!)

って感じかな。

ありがとう。じゃぁ、その感情を踏まえて次のを聴いてみてね。

Am-F→G⇒C…

お、小室進行ってやつだね!

…って、あれっ?AmからFは

  Am・F

じゃないの?これって前回言っていた特別なケース?

ふふふ、そうね。後で教えるね。

音:Am-F→G⇒C…

さっきのと比べてどうかしら?

そうだね、

 Am(さぁ)
 -F(さぁ
 →G(行くよ!Cに)
 ⇒C(到達!)

って感じがしたかな。

1個目のケースは今思うと2回目のAmのときに間延び感があった気がするけど、2個目のケースはFのときに再度(さぁ)って念を押してる感じがあるというか。

物語としては変わったかしら?

あぁ、物語としてのレベルね。

う~んそうだねぇ、そういわれると、大きくは変わってないかな。さりげなく変化してるけど同じ楽曲を保ってるね。

同じような物語、その中で雰囲気や背中の押し方がやや変わったくらいというか。

そうね、もちろん音束が変わるので雰囲気は変わるんだけど、同じような分脈、そう言える感じかしらね。

そうだね。

でもそれはAmとFで構成音が似てるからじゃない?AmはFM7の根音省略っぽいし。

それも一因として否めないね。

でもね、ベース単音でも同等の話ができるので、根本的なところでそれ以外の重要な話がここにはあるの。

引力の残り香

う〜ん、単音でもって話なら…なんだろう?

からくりを言っちゃうとね、引力は残り香のように弱まりながらも残るものなの。

引力残り香01
図:引力残り香の可視化

え、残る?

音束(コード)が変わっても元の引力を引きずっちゃうってこと?

そうなの。

引力という言葉を「(ある音束に)行きたい気持ち」って言葉で言い換えると、一度行きたいなって思った気持ちは次の音束に移ってもうっすら残っているものなの。

これを引力の残り香、保留引力っていうの。

音束に生じていた引力は、次の音束に接続後もうっすら残る

音束から次の音束に接続後もうっすら残った引力のことを、引力の残り香、保留引力と呼ぶ

さっきのでいうと、Am-F→Gっていうのは…

まず、

①AmのときにGへの引力が働く
 Am→G:L引力

②そのあとGへは進まずFに接続する
 Am・F

③Fにいながら、①のGへのL引力がうっすら残っている

ははぁ。あ、それで

 ・Am・F→G
 ・Am-Am→G

は大枠同じような分脈に感じるってこと?

ざっくり言えばどっちのケースも
 前半=「Gへ行きたい~」
 後半=「Gへ…行けました!」
という2段階ストーリーだもんね。

冴えてるね!そういうこと。

どちらも
 1回目のAm:「Gに行きたいよ」の期待
 2回目のF or Am:「Gに行きたいよ」の期待

ってGへの期待を継続保持して、満を持してGに行く(期待が満たされる)形ね。

引力の残り香って引力を継続保持するってことなんだね。

そのとおり!

そして、通常Amの次のFへの接続は

 Am・F

って書くんだけど、今回のようにAm、F両方にその次への引力が働いているとき

 Am-F

って書くの。

あ、それって

 Am-F→G



 Am-Am→G

に分脈として似るから

 Am・F

ではなく

 Am-F

で書くってこと?

結果的にそうも見えるね。「-」でつながっていたら、その次の音束に引力を持ってる同じような兄弟って感じね。

他にも同じようなことは考えられて、

  C-Em→F
  C-C⇒F

とかもどう?

音:C-Em→F

これと、

音:C-C⇒F

これだね。

雰囲気は変わるけど、物語や分脈は汲んだうえでリハモアレンジしましたって感じだね。

なるほど~!

次回

さて、今回は音束(コード)同士の接続後にも残る引力、引力の残り香・保留引力をみたね。

次回はその続き、進行に関する保留を見ていくよ。ここまで行くと接続分析・コード進行分析が手に取るように見えてくるの。

またね!

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  • 筆者
    月屑
新公理系の音楽理論『7 Color Materials』提唱者。本音楽理論と、その世界観を表現した物語小説『7CM』およびその解説を本サイトにて執筆・公開中。 月屑という別名義でも『Music STanDard In/Out』というサイトにて、従来の音楽理論寄りの『キミの音楽理論』や、楽曲の耳コピ分析等を執筆。
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