第32回-進行と停滞
ざっくり接続編-目次
- [第31回] 機能と分脈
- [第32回] 進行と停滞
- [第33回] 引力残り香
- [第34回] 進行の保留
- [第35回] d型の接続
- [第36回] s型の接続
- [第37回] n型の接続
- [第38回] よくある例
- [第39回] 小調性概念
- [第40回] 接続まとめ
第31回-機能と分脈では機能はどこからつながってきたかで若干性質が変わるってのを見たね。
同じTでもなんだか違うねって。
今回はそこを深堀する話の序盤よ。
物語が進行する/停滞する
接続
前回から始まった話ってコード進行のような話だよね。
まさにそうね。
7CM理論では、音束と音束の切り替わり、いわゆるコードチェンジのことを「接続」っていうの。
※ちゃんとしたものは第39回で定義するね
音束と音束の切り替わりのことを接続と呼ぶ
コード進行は接続の連続って感じだね。
進行感と停滞感
うん。
そして7C理論では、第05回-音楽の構造で見たように
・音楽空間=キミのいる世界
・調性=世界の雰囲気
・7CM=世界を創る元素
・メロディ=キミ自身
・伴奏=キミを取り巻く出来事
・進行=伴奏(出来事)の変化=物語
のような構造で例えてたね。
じゃあ『進行する』って感情としてはどんな状況?
進行…音楽という物語がどんどん進んでいく感じなのかな。
じゃあ物語が進まない状況ってどんな感じ?
うーん、物語が停滞しちゃう感じっていうと、そこまでに至る流れを受けての続きの描写はなくって、視点や描写が変わる感じかな。
「いただきます」の次に「食べるシーン」はこなくて、「勉強するシーン」が始まるような。
なるほどね。『流れを汲む』か『汲まない』かって感じかしら。
音楽で聴いてみると、これはどう?DmからのG7のサンプルよ。
うん、ぐぐっと進んでるね。
次にこっちはどうかしら。G7からのDmのサンプルよ。
ちょっと唐突感があるかな。流れを遮る感じ、物語的には『ところで』が挟まる感じというか…。
なるほどね。
実はこの音束(コード)が切り替わる際に感じる「進行感」「停滞感」にはこれまでに見たからくりが関係してるの。
これまでの話…って引力かな?(参照:第22回-調性内引力)
そのとおり!
進行
D,L引力に乗るか乗らないか
引力って確か3つあったね。
T引力:中心音に向かう引力
D引力:5度下に向かう引力
L引力:2度上または下の隣接音に向かう引力
これらが関係するの?
えぇ。この中のD引力とL引力に注目するの。
ある音束(コード)から別の音束への接続が、D引力またはL引力のとおりに接続している場合、「進行」と呼び、そうじゃないとき「停滞」って呼ぶの。
接続がD引力またはL引力になっていることを進行と呼ぶ
進行ではない接続を停滞と呼ぶ
D引力方向やL引力方向に接続すればそれは進行なんだね?
例えば…
・DmからEm:L引力方向=進行
・EmからAm:D引力方向=進行
・AmからF:L引力もD引力もない=停滞
そういうこと?
そのとおりよ。
そして接続を書くときに
・L引力に乗っかる接続は「→」
・D引力に乗っかる接続は「⇒」
・停滞は「・」または「-」
で書くの。
あ、あと同じ音束が変わらないときも「-」で書くの。
「Am」の次に「Am」のときは「Am-Am」ってね。
L引力に乗る接続は「→」であらわす
D引力に乗る接続は「⇒」であらわす
停滞接続は「・」または「-」であらわす
停滞のときの「・」または「-」っていうのは…?
「-」は「・」のある特別な時の表記なんだけど…これについては今後お話するね!
サンプルで聴感確認
なるほど。
Dm、G、Cって接続だったらDm⇒G⇒Cって書いて、
F、Am、Cって接続だったらF・Am・Cだね。
ちょっと両方聞いてみよう。
確かに進んでる感じがあるね!強い。
今度はF・Am・Cを聞いてみよう。
う~ん、言われてみればなんだか唐突で、「これまでの流れを汲んで進んだ!」っていう進行感はないかもね。
じゃぁ今度は最初だけ変えてこれなんてどう?
G→Am・Cよ。
GからAmは進んだ感じはするけど、やっぱりAm・Cは若干唐突感があるかな。
でも悪くないし、停滞っていうほど停滞してない気もするんだよなぁ…。
(にっこり)
次回
さて、今回は音束(コード)同士の接続を分類する進行と停滞についてみたね。でもどうやら停滞の中でもなんだか微細な聴こえ方変化がありそうね。
次回はここに切り込んでいく入り口である、引力残り香・保留引力について説明するね!
またね!