7CM理論-停滞(s型接続)
ここから先は、新しい理論体系『7 Color Materials』の内容となります。従来の音楽理論等や、聴いてる人の感情から逸脱するような表現や整理が生じる可能性がある点、ご理解の上読み進んでいただきますようお願いします。
記事の構成、内容、公開スコープは予告なく変更することがあります。
停滞の中で穏やかな接続型であるs型を見ていく
前回までの以下を振り返る。
- D接続(5度下接続)は強い進行感を生む
- L接続(2度上、2度下接続)も強めの進行感を生む
- D接続とL接続のことを進行と呼ぶ
- 進行以外の接続のことを停滞と呼ぶ
- 停滞の中でも接続先の度数によって引力保留が変わる
- 6度上/3度下への接続をd型接続と呼び、接続先の小調性にまだ動きたい感を発生させる
今回は3度上/6度下への接続ケースを記述する。
定義
前回定義を再掲する
3度上への接続型を13型あるいは61型と呼ぶ
特にs型接続とも呼ぶ
簡易度数類の数字で図示すると、下図の黒い矢印の接続である(1度からの例)
バリエーション
もう少し具体的に見ていく。
簡易度数類
簡易度数類による実際のバリエーションは以下になる。
- [1]ー[3]
- [2]ー[4]
- [3]ー[5]
- [4]ー[6]
- [5]ー[7]
- [6]ー[1]
- [7]ー[2]
in CNM
in CNMにおけるサンプルを記載する。
- [C]ー[E] ※CーEm等
- [D]ー[F] ※DmーF等
- [E]ー[G] ※EmーG等
- [F]ー[A] ※FーAm等
- [G]ー[B] ※GーBdim♭5 、GーG/B等
- [A]ー[C] ※AmーC等
- [B]ー[D] ※Bdim5ーDm等
性質
引力
13型(61型)である[1]ー[3]の引力を見ると次のようになる。
- [1]の引力は[2][7]:L引力、[4]:D引力
- [3]の引力は[4][2]:L引力、[6]:D引力
重複している引力先は[2]と[4]である。下図では下段の[3]にフォーカスした図である。
各引力先毎に引力(心の期待値)がどう変化しているかを見ると次のようになる。
- [4]への期待:[1]時点ではD引力、[3]時点ではL引力程度まで下がる
- [2]への期待:[1]時点ではL引力程度、[3]時点でもL引力程度で同等である
先の図で言えば、前者は[4]に向かって[1]から青い矢印(D引力)が出ていたが、[3]からは黄色い矢印(L引力)になった、ということである。
上記からわかるように、[1]から[3]に接続することで
- 一度進行感を停滞しつつも一連の流れ感は持つが、
- [1]⇒[4]のD引力期待感を
- [3]→[4]のL引力期待感にまで下げる
という状態である。[2]に対する期待感は同等のため、単にお預けした形である。
薄ら抱いていた
・L引力 × 1
・D引力 × 1
を、d型接続することによって
・L引力 × 2
に弱化する
聴感的性質を見ていく。
性質
s型接続は進行ではなく停滞であり、一度進行を停滞する。しかし進行保留定理により流れを弱めつつも一連の流れを持つ。
s型接続は、進行保留定理の引力を若干弱める
①DmーF→G7と②DmーDm⇒G7を比べてみる(下にサンプル有)。
X=(DmーF)という団子で捉えると、
・①X→G7
・②Dm⇒G7
の前者①はDmーFのF時点で小調性は変わったけど同等の立ち位置止まり(停滞)している感覚はありつつも一連の流れ感を持つ。しかし、F→G7が②のダイナミックな動きより「ちょっとずつ動いている」感覚を感じ得る。
[1]から[3]への接続は、[3]への接続時点で流れを停滞しつつも、引力を保留し[1]と[3]2つの団子で次を期待するような流れとなる。(上記例ではDmとFを団子と見てG7へ向かう一連の流れ)
次の例では、s接続されることで与える小調性への影響を見る
in CNMにおいて、
・①EmーGと接続(停滞)した場合
・②F→Gと接続(L進行)した場合
・③Dm⇒Gと接続(D進行)した場合
を比較する。①についてこの先の動きたさはどうだろうか。特にCに戻りたいといういわゆるドミナントらしさはどの程度感じられるだろうか。EmーGの停滞接続で何も進展がないような状況で、この先もどっちに行ったらいいか迷う感じすらする。
かたや、②と③はどうだろう。ちゃんとCへの期待値が高まっているのではないだろうか。それを欲する続きを満たすサンプルも④⑤に用意した。
どうだろうか。いわゆる「文脈」で片づけられるコード性質の深堀である。
上記例に見たように、この接続は接続先の聴感を左右する。特に接続先が、中心音への引力を最大に持つ5度類であっても(いわゆるドミナントと呼ばれるものであっても!)、動きたい感が若干弱められたかのように感じる。このことから次の定理が得られる。
s型接続は、接続先の小調性の動力を若干落ち着かせる。
s型接続のsは、静的(Sei-teki)、静か(Shizuka)、Static、Stay、Stop、Stagnation、サブドミナント(Subdominant)的など頭文字のSを意味している。
さらに
もう少し細かい話を言うと、D引力をL引力(短2度:強い)に弱めるのか/l引力(長2度:弱い)に弱めるのかでこの弱化程度が変わってくる。それは端的に言えば接続元の小調性から見る3度が長3度か否かでおおよそ確定する。
長3度の場合は小さな弱化
長3度が存在する場合、概ね
対となる完全4度は存在する
ことから、3度と4度の関係は短2度となる。(7CMにも依存してくるが、背景に自然調性重力が働くことを考えると自然調性上上記となるため差し支えない)つまりこの状態でs型接続すると、元のD引力はL引力(短2度:強い)に変わる。
C=(c,e,g) in CNMの場合、Cから見て完全4度のFが存在する。C⇒FはD引力である。ここでs型接続先のEmを見てみると、Em→FはL引力(短2度:強い)でありある程度強い引力に引き下げられる。
G=(g,b,d) in CNMの場合、Gから見て完全4度のCが存在する。G⇒CはD引力である。ここでs型接続先のBm♭5を見てみると、Bm♭5→CはL引力(短2度:強い)でありある程度強い引力に引き下げられる。
F in CNMについては、F時点の元々の期待値が高くない:B♭宛先の場合は7CM外のためそこまでD引力(完全5度下)は強くない/Bm♭5宛先の場合は元々d引力(不完全5度下:弱い)のためそこまで強くない
短3度の場合は大きく弱化
長3度の例でわかるように、短3度の場合はl引力(長2度:弱い)となるため更に弱化する。
Dm=(d,f,a) in CNMの場合、Dから見て完全4度のGが存在する。Dm⇒GはD引力である。ここでs型接続先のFを見てみると、F→Gはl引力(長2度:弱い)であり弱い引力に劣化する。
Em-G in CNMもAmーC in CNMも同様であり、本コード進行が音楽理論で禁則進行のように言われる所以・本質はここにある。
まとめ
まとめると次のようになる
- 3度上/6度下の接続を13型/61型/s型接続と呼ぶ
- s型接続前後での共通引力先は4度と2度である
- s型接続前でD引力を感じていた4度方向は、s型接続後にはL引力へ弱まる
- s型接続は停滞接続であり、進行感を停滞させつつもs型接続の団子で次への進行を感じさせる。しかし動きは弱い
- s型接続により、接続後の小調性に「次への動きたい感」を若干落ち着かせる
- s型接続は静的/静香/Static/Stay/Stop/Stagnation/Subominant的という意味でs型と呼ぶ
- s型接続前の3度が長3度のときは保留引力は微細に弱めるが、短3度のときは大きく弱める
次回はn型接続について見ていく。
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