7CM理論-基本引力
調性内引力を記述する前に、ベーシックな引力について記述する。
補正引力
狭義の補正引力は、人間の曖昧性に起因する引力である。一言で言えばピッチずれの無視である。
音楽を聴いている人の心は、些細なピッチずれを許容する
ピッチずれを気にすることなく無視して聞き取れる性質のことを補正引力と呼ぶ
ギタリストが奏でるメロディ。これがもしちょっとだけ握力が変わったとすると、ピッチズレが生じる。しかし違う音だと認識するだろうか?完全音感の人がそれを認識ししたとして、別物とすべき音階だと思うだろうか。
狭義の補正引力は、多少のピッチずれも同一音として見なすことを指す。言い方を変えると、正しい音に補正がかかって聞こえるという引力である。
補正引力サンプル
次のサンプルを聴いてみよう。この楽曲を知っているだろうか?
正解は…
チューリップ!
…って誰もがわかると思う。しかし微妙にピッチをずらしていたことに気が付いただろうか。気が付いたとして「これはチューリップじゃない」ってなっただろうか。
光彩編の内容になるが、種明かしをするとこれは
- 最初のドレミはミが高い
- 次のドレミはミが低い
- 最後のソミレドレミレはミレが低い
というものである。最初のドレミの明るさ、次のドレミの陰りなど感じられただろうか。
広義の補正引力は次回以降記載する。
基本引力
引力は以下2種類が存在する。
- 5度下引力(D引力)
- 隣接音引力(L引力)
5度下引力(D引力)
狭義の5度下引力は、聞いている音の完全五度下を求める心理である。これはミッシングファンダメンタルという事象とも関連付け出来そうであるが、ここでは公理とする。
聞いている音の完全五度下を求める心理がある
聞いている音の完全五度下を求める心理を5度下引力と呼ぶ
5度下引力サンプル
次のフレーズを聴いてほしい。ドレミファソラシドッソーと最後を伸ばすので、次にどの音が聴きたいかを自分の胸に訊いてほしい。
さて、最後に来た音は期待した音だっただろうか?これが5度下の引力である。
隣接音引力(L引力)
音と音が区別されつつ近い距離であるとき、隣合う音として引力が働く。
区別されつつ近い距離というのは、補正引力で同一視されない程度の近い距離であり、先のチューリップの例の「1回目のミと2回目のミ」の距離ではなく、ミに対するファやミ♭のような、12音上別物とする音のことである。
言い換えると、音の遷移に滑らかさを感じるということ。滑らかさを感じるということは(知らず知らずのうちの)心の期待の上から脱線していないという主張でもある。裏を返せば、隣接しない音の運びは抵抗力を産み、滑らかさがなくなる。
隣合う音へ遷移したい心理がある
隣合う音の引力を隣接音引力と呼ぶ。
広義の隣接音引力は次回以降記載する。
隣接音引力サンプル
まずはこれを聴いてほしい。『ドレミファ~~』から着地する次の音への抵抗力・滑らかさのなさのようなものが感じられるだろうか。
続いて聴いてほしいのは、隣接音としたときの滑らかさ。感度の高い人であればファーの時点でこれらの音が「こっち来い」と呼んでいるように聞こえるかもしれない。
最後に
2番目に挙げた5度下引力も、例えば12平均律では完全なる3倍音関係ではないことになるが、それは1番目の補正も加担している、と見てほしい。つまり
- 5度下引力 on 12平均律=だいたい3倍音近傍
- 1番目の補正引力によって…
- 完全な3倍音と同一視
- 1番目の補正引力によって…
というプロセスである。今後の調性世界の転回では補正引力のような概念が随所に出てくる。
ここに記述したものが原理であり、この先調性世界へと展開していく。その延長上に、機能が定義されていく。
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