第19回-掛け算7CM

ざっくり光彩編-目次
- [第11回] 光彩の概要
- [第12回] 自然な光彩
- [第13回] 光彩残り香
- [第14回] 自然の重力
- [第15回] m系代表型
- [第16回] SDmの出身
- [第17回] M系代表型
- [第18回] モード7CM
- [第19回] 掛け算7CM
- [第20回] 光彩まとめ
今回は7CMの合成となる掛け算7CMに関する話よ。
モード系7CMおさらい
前回、モード系7CMを見たね。
そうだね。モード系は、例えばCNMで言うと、白鍵盤を転回して
CIon
=DDor
=EPhr
=FLyd
=GMixo
=AAeo
=BLoc
って得られるんだけど、

そういう見方よりも、
・CIon
・CDor
・CPhr
・CLyd
・CMixo
・CAeo
・CLoc
でどのように光彩が違うか、のような同じ中心音での比較・見方が大切って話だったね。

うん、まさにそう。
…なんだけど、今回最初に話したいのは
CIon
=DDor
=EPhr
=FLyd
=GMixo
=AAeo
=BLoc
の方の話なの。
え、そうなの?
どう大事なの?
じゃあ具体例を交えて見ていくね。
“借用”という“状態”
例えば、いわゆる音楽理論でいうドッペルドミナントを考えてみて。
in CNMでいつもはDm7の顔をしてたコードが、急にD7として表れてGに向かうあれだね。
そうそう。
これは、音楽理論では
『Gキーからの借用』
と言われるよね。
一方で、このときの7CMはどうなってるかしら?
in CNM={ド,レ,ミ,ファ,ソ,ラ,シ}
が、D7={レ,ファ♯,ラ,ド}によって
in CLyd={ド,レ,ミ,ファ♯,ソ,ラ,シ}になるね。


あ、これはGNMを転回しただけで中身同じだね。
CLyd={ド,レ,ミ,ファ♯,ソ,ラ,シ}
GNM={ソ,ラ,シ,ド,レ,ミ,ファ♯}
そう。つまり、音楽理論で言うところの
『ト長調(Gキー)からの借用』
という状態(借りてきてると感じてる現象)は、
『in CからLydという7CMを通して、GNMという別世界を覗き見ている』
ということができるの。

えっとえっと、CLydという状態は、
D7⇒G
という in GNMのコード進行・出来事を、あくまで中心音がCの世界からCLydとして見てる状態ってこと?
そのとおり。
なるほど。
じゃあ例えばよくあるところで言うと、 in Amのコード進行で、
FM7 G7 Em7A7♭9 Dm
のような、A7からDmというセカンダリドミナントだと…
いい例ね!
まさに、DHmの世界からの借用ね。7CMを通してDHmの世界を見てる、ってことになるの。
…あれ!?
でもそのDHmを除き見る7CMって何になるの?望遠鏡の「???」って…?

それがまさに今回の話よ。
“向こうの世界”の形
今見たように、別の世界のHmって気になるよね。
Nmからすると、
・Hm
・Mm
・Wm
のP型の多層って、
・Hm/Nm
・Mm/Nm
・Wm/Hm
のように「Nmを基準に変形した状態」なので、よく使われる世界になるの。


そうだね、
青の鍵盤「CNm」が基準となって、「CHm」は主輝度(7th)のシ♭が半音上がった状態だったよね。

MmはHmの主彩度(6th)のラ♭が半音上がった状態だし、

WmはHmの上輝度(4th)のファが半音上がった状態だから、すべてNmからの変形だね。
うん。同じように
・HM
・MM
・WM
も「NMを基準に変形した状態」だよね。




そうだね、
今度は青の鍵盤「CNM」が基準となって、
・「CHM」は主彩度(6th)のラ
・「CMM」はCHMから更に主輝度(7th)のシ
・「CWM」ならCHMから下彩度(2nd)のレ
が半音下がる変形になってるね。
そうね。
この独特かつ有用な7CMも覗き込みたくない?
今回紹介する「掛け算7CM」はこれら「別の世界のP型多層」を覗き見るの。
W・M・Hも覗き込む
音楽的に意味ある覗き込みになるのかな?
じゃあ循環コード進行で試してみようね。
循環コード進行ってこんな感じのだよね。
そうそう。
これを、次のようにしましょう。
C
C♯dim7
Dm
E♭aug/G
F♯dim7/E♭
お、なんか甘美だったり切なさあったりでいい感じだね。
2つ目が短調ドミナントのような匂いで、4つ目がサブドミナントマイナーのようなにおい感じるなぁ。
いい嗅覚(鼻?耳?)してるわね。
ここで7CMの正解を書いておくわね。
C
in CNM
C♯dim7
in APhrHm
Dm
in C | ANm
E♭aug/G
in CLydHM
あ!出た!
2つ目の短調ドミナント感はHmだね!PhrHm…!?
そして4つ目のサブドミナントマイナー感はHMが正体だってことだね。これもLydHMってなってる。
大正解!
さて、定義をしましょう。
掛け算7CM~マイナー系
こっちのざっく理論では具体的に書いちゃうわね。
APhrHm: DHmの転回系よ。求め方は次の通り。
①APhrはDNmだね。
②DNmの世界でHmとなったものはDHmだね。
③ってことはAPhrHmはDHmと同じだね。
同じようにMmやWm、あとDorに対するHm、Mm、Wmも考えていくの。
APhrMm:DMmの転回系
APhrWm:DWmの転回系
ADorHm:EHmの転回系
ADorMm:EMmの転回系
ADorWm:EWmの転回系
なるほど。
ちなみに、APhrHMのようなメジャー系のものはないの?
それは定義してないよ。メジャー系は次のようになるの。
掛け算7CM(メジャー系)
CLydHM:GHMの転回系
CLydMM:GMMの転回系
CLydWM:GWMの転回系
CMixoHM:FHMの転回系
CMixoMM:FMMの転回系
CMixoWM:FWMの転回系
えっと考え方としては、例えば
①CLydはGNMと同じだね。
②GNMの世界でのWMはGWMだね。
③CLydWMはGWMの転回系だね。
って考え方だね。
その通り。
さて、これをANM基準で書くとこうなるね。
AMixoHM=DHM
うん。
さっきの話だけど、APhrHMってメジャー系を定義しようとしたらどうなる?
APhrHm=DHmだから、APhrHMだとDHMとしたいね。
…あ!
気づいたね。
そう、DHMをin Aから見たときって、既にAMixoHMとして同じものが定義されているの。
だから、PhrやDorとメジャー系の掛け算は定義不要になるの。
次回
次回は色々考えていたけど…総集編を気が向いたら書くね。
じゃあね!